サンタクロースに助けられる。

こちらについて約1カ月、実は今日、やっと電力会社の名義変更に成功した。1カ月。とにかくこちらでは何をするにも時間がかかる。もちろん原因の半分は言葉も習慣もわからないこちらにもあるのだが、それだけではない。たとえば買い物をする。レジでお金を払うのだが、なぜかそんな単純に見える所でもすぐに渋滞になる。スムーズにいかないのだ。何やら値段がわからなくてあちこち調べだしたり、しまいには電話で問い合わせたり、だからレジに並ぶにも日本のようにどこがすいてるかを基準にして並んでもだめなのだ。

電力会社の名義変更については大屋さんから簡単だと聞いていた。ついた翌日だったか、じゃあいっしょにということで大家さんと手続きに行ったのだが、銀行口座がないとだめだと言われた。そこでまず、口座を作るのを急ぎ、(といってもその口座を作るのにまた予約を取って1週間後に作りに行くような具合。)今度は大丈夫だといわれて一人で手続きに。ところが今度は前に住んでいた人の名前とメーターの今の状態の写真が必要だといわれる。もちろん日本語で言ってくれるわけはないので、相手の言っていることを理解するまでどれだけ苦労したことか…。前の住人の名前どころかメーターの場所もちゃんと教えてくれていない大家さんに少々腹を立てながら電話するも、つながらない。仕方なくまた出直し。周りの知り合いの日本人やフランス人に聞くと、みな首を傾げて「名義変更は大家の仕事でしょ。電話一本でもできるはず。」翌日、、大家さんに半分キレながら電話し、「私は今まで1回も名義変更なんてしたことがない。みんな自分たちでやっていた」との主張を抑え無理やり一緒にいってくれるよう約束を取り付ける。ところが当日行ってみると、なんと店は閉まっていた。ストライキ・・・。仕方ないので次の約束を取り付ける。今日の朝、突然大家さんが来る。呼び鈴が鳴るので外に出てみると、「今もう一度一人で行って聞いてきた」という。電気のメーターについては本当にどこにあるか知らないらしい。聞いたらどこどこにあると言っていたからそこを見てくれればわかるはずだという。前の住民の名前も教えるから、今度こそ一人で行っても大丈夫なはずだ。とのこと。家に戻って言われた場所を見ると、そこにあるのはメーターではなくブレーカーだった。もうこれじゃあらちが明かないということでアパートの管理人室へ行く。辞書で調べて「名義変更がしたい。電気のメーターはどこですか?」とフランス語らしき文章を紙に書き見せてみる。わかってくれたようで、同じような作りになっている管理人室の近くの電気メーターで開け方や見方をジェスチャーを交えて教えてくれる。よし、今度こそと戻っていざうちの玄関前で見てみる。確かにここにあるらしいというのは分かった。ところが、鍵の開け方がわからない。鍵穴がある部分には持っているどのカギも合わない。他の扉には鍵穴自体がない。というかただの穴があいている。どうしたものかと行き詰って途方に暮れていると、階段を上ってくる人が。とりあえずは「ボンジュール」とあいさつを交わす。こちらを見てなんか変だと思ったのか、身振りでどうかしたのかというようにこちらを見る。これは聞いてみるしかないと、先ほど管理人に見せた紙を見せてみる。ああそうかとばかりメーターのあるドアを開けてくれた。なんと鍵は何でもいいのだ。ただ棒状のものを入れて回せばあいてしまう。「メルシー ボクー」改めてそのムッシューをよく見るとまあるいおなかに白いひげ、にこやかな笑顔のおじいさん。まるでサンタクロースだ。満面の笑顔で「ジュブザンプリ(どういたしまして)」と言い残し去っていく老紳士、その行く先はなんとうちの隣だった。

さっそくメーターの写真を撮って再び電力会社へ。もう何度も来ているので店員も何となく顔見知りの感じ。「こいつまたきたな・・・。」とりあえず近くにいた人に写真を見せてこれでどうだと聞くと小声で「ウイ、ウイ」今度は大丈夫そうだ。しばらく待って奥に呼ばれる。先日も対応してくれた黒人だ、背が高く、黒い上着の下には真っ赤なシャツ。白いスニーカー。にこやかに握手を交わす。これであとはすべてお任せか。と安心したらそうでもなかった。部屋の広さは、何階か?オール電化か?などなど、言葉がわかれば難しくないのかもしれないが、わからないこっちとしては冷や汗かきながらの応対。もう少しでかなり高い基本料になってしまうところだった。とにかく終わった時にはホッとした。それにしても思うのだが、これほど言葉が通じずにめんどくさい客にもかかわらず、めんどくさがる風でもなく手を替え品を変え、何とか対応してくれるというのはどういうことか。たまたま運が良かったのかもしれない。言葉のわからない外国人にキレる店員、なんて話はよく聞く。ただ、店のレジの行列を見てもそれで店員がキレてる様子はあまり見かけないし、周りの客も慣れっこなのかあまりそわそわしてはいないようだ。この辺りがパリ市内からちょっと外れているからのんびりしているのかもしれないが、もしかしたら店の行列の原因の一つは、丁寧に客に応対しているからともいえるのか。・・・いやいやそれだけじゃあないだろうが。

夜、先ほどのお礼がてらお隣のサンタクロースさん宅にあいさつに行った。満面の笑顔とともに現れた夫妻。うちの子供と同年代のお孫さんがいるようだ。初対面にもかかわらず、しかも言葉も通じないのにもかかわらず、今度の日曜日にお茶の招待までしてくれた。初めてのフランス人宅訪問。いったいどんな感じなのだろうか。

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