久しぶりにDavidさんから連絡があり、昨日の夜にシャンゼリゼ通りで会うことになった。実は年末年始にかけて子供達が順番に風邪をひき、クリスマス、新年ともにほとんどどこにも出られなかった。「こちらのクリスマスは…、正月は…」と書きたいところがほとんどそんな雰囲気を味わう間もなし。なんともったいないことか。1年の滞在では、同じ季節を2度体験できないのだから…。唯一大みそかの夜、テレビを見ていたらシャンゼリゼ通りがえらい賑わいだという映像を見たくらい。これじゃ、日本で見るのと変わりない。あとは夜中、そうとは知らずに妻と話をしているさなか、どこかあちこちから聞こえてくる大きな声。ふと時計を見ると12時だった。そんなわけでパリのロマンチックなクリスマスのイルミネーションなどとは全く縁のない生活だったのだが、きのう、1月4日、の夜、初めての夜のシャンゼリゼ見学となったわけである。幸いイルミネーションはまだ残っていた。―日本だと、クリスマスが終わると直ちに正月飾りに取って代わるが、こちらはそうでもないようで、近所のショッピングモールでもいまだにサンタのからくり人形がせっせとプレゼントの準備をしている。― 決してゴテゴテの飾りつけではなくただ街路樹に青白い淡色のライトだけのシンプルな装飾だが、とにかくあの長くて広いシャンゼリゼ通りにそれがずらっと、整然と、並んだだけでもそれは壮観なものになる。相変わらず時間に正確なDavidさんと会い、近くの店で1時間ほど話した。実はDavidさんこの間に転職していて(かなりの出世)新しい職場に落ち着くまでかなり忙しかったようだ。今度の職場はシャンゼリゼにあるので、仕事の後なら気軽に会えそうだということで連絡してくれたのだ。ありがたい友人。…とこのように書くと、いかにも自分がすっかりフランス人とごく自然に会話しているような映像を思い浮かべさせてしまうかもしれないが、実際は相変わらずめちゃくちゃだ。身振り、手ぶり、字やら絵やら、日本語、英語、フランス語、なぜかわからぬ韓国語。必需品は電子辞書。「家族は元気か?」程度の会話に四苦八苦する。これが現実。そんな相手をめんどくさがらず声をかけてくれるのだから、Davidさん、よっぽど親切な人なのだ。近いうちまた、お互いの家族と一緒に会いましょうと挨拶を交わし、家路に就いた。
なお、この日、Davidさんに会う前に家族で病院に行った。娘の風邪(もう治っているのだがもしかしたら中耳炎かもしれなくて。)の診察と、私と息子のインフルエンザ予防接種。兄、妹ともに大暴れだった。妹のほうはいいとして、2年生の息子がなぜ大暴れ?去年も予防接種は受けたのに。実は学校の友達の間で「フランスの注射はでっかくて日本の注射よりものすごい痛い」とのもっぱらの噂だったようで、ひそかに恐怖におびえていたらしい。実際はむしろ逆で、妻も私もほとんど痛くなくて驚いていたのだが…。どうやら親の言うことより友達の言うことのほうが信じられるらしい。…そういうお年頃になったのか、ただ単に、怖い情報のほうが心に響くだけなのか…。