今日は昨日調整した絵の具をもとに装飾部分の盛り上げ作業をする。昨日すでにある程度形をとってあるので画像としては昨日と今日の状態にほとんど違いはないかもしれない。
サンシックドリンシードのみで練ったシルバーホワイトは、可塑性を持たせるためにかなり硬練りにした状態では筆が動かないほどに粘る。しかも極度に糸を引くため作業上、非常に扱いにくく、また描いてしばらくすると形が崩れる。最近の分析によるとシルバーホワイトのパートからは乾性油主体(おもにリンシード、まれに胡桃油。)ながらもわずかに卵黄の成分が検出されているという。実際この硬くてどろどろのホワイトにわずかに卵黄を混ぜてみると、驚くほど筆さばきが滑らかになり、しかも形が流れない。丸みを持った古典的なマチエールを作る。油で希釈するとともに、水でもある程度希釈可能だ。実際ある程度の(ごくわずか)の水分が入ったほうが形がしっかり残るようだ。
実際に描いてみる。テストした通り、盛り上げは可能。しかし、これもオリジナルと模写の違いだから仕方ないものの、オリジナルはとにかく筆致が生きている。筆を回しながら片側に絵の具をためるようにひと筆でスッと引く。リズミカルな動き。かなりの早さだ。模写する場合は次にどんな層が来るのか、明るさはこれでいいのか、形は…。と探りながら描くのでどうしても絵の具を置きにいってしまう。また、何度もなぞったりする。オリジナルの場合は自分のリズムで描くのでたとえ修正するにしてもいじりまわすのではなく乾いてからもう一度勢いよく一筆で引き直す。そのあたりもう少し出したいところだが…。描けたら気持ちいいだろうに。写真はオリジナルと模写の斜光写真の比較。(描き途中の段階だが。)照明の位置や写真を撮る角度までそろえられなかったのでちょっと比較はしづらいかもしれない。