日本を気にかけている人々

 
昨日家の前にある砂場で少しの間娘を遊ばせていたとき、アパルトマンの管理人さんとすれ違った。娘を見てにこやかにあいさつをしてくれる。こちらに寄って来て、日本の家は大丈夫かと聞いてくる。東京の近くなので今のところ大きな被害はないようだと答えると。そうか。でも心配だね。というようなそぶりを見せる。いつもはこちらから軽く挨拶をする程度でそれほど愛想のいい感じの人ではないのだが、実は結構優しい人なのかもしれない。
 今日の夕方、また隣の奥さんMariさんが訪ねてきた。日本の家族は大丈夫かという。うまく表現できないので紙に日本地図を描き震源地からある程度離れていて今のところ大きな被害はないこと、ただし原発の問題があるのでこの後が心配だということを伝える。Mariさんはフランスのニュースを見ている。おそらくここでの報道は日本でのものより事態を悲観的に報じているようで、両親はもう他に避難したのか?と心配してくれる。「私にできることがあったらいいのに…ここにいては何もできることがない、」と、目を潤ませている。本当に心優しい人だ。個人主義が徹底していて他人の事には全く関心を持たないなどと言われているフランス人。しかし決してそんなことはない。
 妻の韓国の知り合いからもあちこちから電話やメールが届く。しばらく連絡が途絶えていたある友人はインターネットでパリの韓国人教会を探し当てコンタクトをとってきた。皆、今はフランスにいることを承知の上で日本の家族、友人の無事を気にかけてくれているのだ。みな被災者の、困難の中にあって助け合い、譲り合う姿に驚きを感じているという。妻の母は、すでに被災者に対する募金をしたらしい。韓国の多くの教会では今も日本のために祈ってくれているという。今は遠く離れた日本。しかし、世界では多くの人が今の日本を思い、気遣ってくれていることは確かだ。今はせめてそのことを伝えておきたい。

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