14日目の仕事

今日はカメラは持っていたのだが中身のカードを忘れてしまった。なので画像はなし。今日でほぼ95パーセント完成に近いところまで持っていった。顔には再びイングリッシュレッドをグレーズ。原画の茶色がかった色にならないように気をつけながら赤味を加えた。背景の黒さに対して多少顔の影の部分が浅く感じたので、様子を見ながら黒と、多少のクリムソンレーキを使って色を深めてみる。目の中の最暗部は背景の黒に負けないくらいに暗いのだが、そこだけ黒くすると目ばかりが説明的に黒くなり、浮いてしまう。影色とのバランスを見ながら進めていかなければならないのだが、これが意外に難しい。結局まだ少し浅いようだ。次回見直す必要がありそう。
ところで前回書いたレンブラント展にびっくりするものを発見した。次回の模写を申請していたウェイデンの作品がそこに展示されていたのだ。レンブラントの展覧会は7月まで続く。したがってどう考えてもこの絵の模写は無理ということだ。残念と言えば残念だが、もし許可が下りたとしても残りの時間を考えればとても完成させるまでには至りそうにないことが分かっていた。1カ月ちょっとでは、フランドルの作品はかなり難しい。レンブラントのようにぐいぐい描いていく絵ではないのだ。1カ月ちょっとなら完成は無理でもある程度のところまでは持っていけるかも知れないが、ただ、残る時間の中、他にやっておきたいこともある。例えばパリを出て見に行きたい美術館、オランダ、アムステルダムの国立美術館、イタリア、フィレンツェのウフィッツィ美術館など…。そろそろ帰国の事を考えなければならない7月8月にそれらを全部回すことは難しい。そんなことを考えるとむしろきっぱり諦めがついてかえってよかったのかもしれない。…と、そこで終わるはずだったのだが…、待てよ。そう言えば…。様子見でとりあえずやってみようと一番最初に申請しようとしていたコロー…。必要書類をそろえ、キャンバスまで準備しておいて結局申請手続きの分厚い壁にぶち当たり、いきなり本命のレンブラントに切り替えたためそのままになっていた。ある程度実績を積んだ今、もしかしたらこれならウェイデンの代りにと頼めばやらせてもらえるのでは、と思ってしまった。時間的にも数日で描くことが可能だろう。今回の技法的な研究からは外れるが、最後にルーブルにある最も好きなフランスの画家、コローの作品と向き合えるならば悔いもない。…ということでさっそくお世話になっている韓国人チャンさんにメールしてもらったところ、早くもOKがとれた。本当にこちらは最初の壁を崩すのは大変だが、いったん突破すると、思った以上に柔軟な対応が得られることがあるとつくづく感じる。言ってみるものだ。どちらにしてもみな協力者の皆さんのおかげです。感謝。

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