先週の土曜日、モデルさん2人を呼んでのオイルスケッチをKay君のアトリエで行った。いつものように1時半、まだモデルさんは来ていない。しばらく準備をしているうちに一人が来る。それからまた例のようにゆっくりとした昼食の準備、2人目の到着、食事とお茶と、おしゃべり。結局始まりはまたしても4時ごろだったか。ちなみにモデルさん達はイタリア人。フランスのゆっくりしたペースの上にイタリアが加わればもう敵なしだ。
あらかじめ白亜地の上に茶系のインプリマトゥーラを施した板地を2枚(小さいもの)を準備していった。Keyくんは大きめのキャンバスに2人をいっぺんに描くつもりでいたが、自分のほうは実験的なもののつもりなので、また、日本に持って帰る都合上、2人の頭部を中心に一人ずつ2枚描くつもりでいた。アトリエに入るとすでに二人でベッドに寝転んで喋っていたので、そのままで面白いということになり、椅子は使わずそのまま描き始めることに。下地の中間調を生かし明部と暗部に描き分ける。今回は時間的にも短い事もあり、レンブラントのように描く事を目的とするというよりは、試しているメディウムの描き心地がどうか、絵の具のコントロールはしやすいのか、暗部の透明な厚塗りが自然に発生するかどうか…。そんなところ。バンダイクブラウンでおおざっぱに形をとり、暗部の調子を入れていく。そのまま明部にシルバーホワイトを多めに使った色で厚めに色を置いて行く。明暗の境目はやわらかい筆で軽くぼかし込んだり、グレーの絵の具を混ぜ込みながら色調を整えてみる。衣装の黒はバンダイクブラウンか、さらに少量の黒を混ぜた色を多めのメディウムで溶いてのせてみる。布地の縁などの変化の多い部分は筆の勢いに任せてかなり厚く塗る。髪の毛の部分などは下地を残しながら透明に描き進め、ハイライトの部分などはイエローオーカーにシルバーホワイトを混ぜた明るい色を筆先に多めにつけ、髪の流れに沿って軽い筆さばきで表面を掃くようにのせていく。まだ初めてなのでなんとなく試行錯誤ではあるが、使った感じは悪くはない。暗部も切れがよく、厚みも出しやすいし、油が多すぎたときのヌルヌル滑って描きにくい感じとは違う。描くときの伸びはいいが、塗り重ねるときはそれほど滑る感じがないので不透明のハイライトを入れるような場合にも下を壊さず上にのった感じが出しやすいので濁りが出にくく感じる。レンブラントというよりも、ルーベンスの描きだしはこんな描き心地の絵の具状態ではないかと漠然と思った。レンブラントよりは少し早いがやはり同時代の画家、技法的な共通点があっても不思議ではないはずだ。
さて、明日は描き上げた2枚目のレンブラントをルーブルから持ち帰る日。今週末からは最後の1枚、コローが始まる。