近所のCafé、”Le Rex”。幾度となく家族で通った店。実はここフランスに来て初めて入ったカフェだ。来た次の日あたりだったか、せっかくフランスに来たんだから、まずはカフェにでも行ってみようと入ったのだ。初めは注文の仕方すらよくわからず、どぎまぎしながら入ったのだが、こちらが子供連れだったこともあり、店員のおじさんたちも非常にフレンドリーで、以来一番のお気に入りのカフェになった。
帰国も間近になり、もうこの店に行くのも最後になるかもしれないと、もう一度家族で飲みに行った。バカンスのせいか、今日は店員も半分の2人しかいなかったが、それでもいつもニコニコ顔で迎えてくれるおじさんは働いている。いつもと変わらぬ風景。でももう来週にはここにいないと思うとなんだか特別に感じられるものだ。少し店も暇になり、おじさんも一服煙草をくわえるために外に出たので思い切って話しかけてみる。近づいて目が合うなりいつものにこやかな笑顔で「元気かい?」と握手をする。自分達が1年間ここいいて、来週帰国すると伝えた。帰り際、一緒に写真を撮る。周りにいる常連客にも「この家族、来週日本に帰るんだ。」と話し、話したこともないおじさん達が何やらこちらに話しかけてくる。その中の一人が「写真、撮ってやるよ。」と、何枚か撮ってくれた。この店の、飾らないこんな雰囲気が好きだ。
夜にはVyさん宅でベトナム料理をごちそうになる。Vyさん御夫婦には最初から最後までお世話になりっぱなし。知り合いの知り合いの妹…という、いわば全く関係のない人だったにもかかわらず、こちらに来た翌日から全てのことに面倒を見てくれた。インターネットの契約、買い物、その他なんでも。決しておしつけがましいことなくしかしどこまでも親切。こんな人がいるのかと思えるような夫婦だ。帰国に際しても、インターネット、電気の解約手続きなど、代わりになって進めてくれている。お宅に伺うのは今回が初めてだが、住まいのあちこちに日本の人形や工芸品が飾られていて驚いた。
やはりアジア人はアジアに共通する何かがあるのだろう、Vyさんの作るベトナム料理はとても懐かしさを感じるおいしいものだった。子供達もいつも以上に良く食べる。ヨーロッパの料理は味が濃く、油が多くて食べ始めは「うまい!」と思ってもすぐに飽きてしまうが、ベトナム料理はあっさりしていて深い味。日本人の体にも優しいようだ。大満足。ちょっと食べすぎたようだ。
残るは4日。実質は3日というところか。帰り支度もあり、もう大したことはできない。1日1日が貴重に思えてくる。