いよいよ次回の作品に向けて気持ちが向いてきた。しばらくぶりに大きめの作品に取り掛かる。今日、80号と60号のキャンバスを張り始めた。準備はすでにむこうにいるときからできている。おのずとタックスを打ち込む手にも力が入るというものだ。まだ描き始めてもいないというのに気分ばかり高揚するというのも妙なものだが意外にこの初めの高揚感というものはバカにできない。時間のかかる写実の作業において、これからなが?い、一見ほとんど報われないような作業が延々と続く中で、最初の感動や高揚感というものは地道な作業を続けさせる力となる。「この先の見えない泥沼の先には、自分の思い描いた完成の姿が待っている。」…そんなところか。とにかく今はすっかり戦闘態勢整った気分。当面の敵はこれまでの自分だ。
…なんて言って出来上がった自分の作品を展覧会場で見るときは、すっかり惨敗気分で意気消沈しながら、またこりもせず「次こそ!」と次回作に取り掛かるというのが毎回の繰り返しなんだが…。それでも少なくともこの戦闘意欲だけは失いたくないものだ。それがある限り、絵は続けられる。