4歳児のやさしさ

昨日も3時近くまで描いていた。さすがに睡眠時間が3ー4時間の日が続くと集中力が続かないのでちょっと夕方仮眠を取ろうとアトリエのでっかいクッションに埋るようにして横になった。数分後、下から階段を上がってくる音がする。そう、幼稚園から帰った娘だ。「こりゃ、起こされる。」と思ったがなぜかそうはならなかった。こちらの様子をしばらく黙って静かに見ていた彼女は「ゆっくり寝てね。」と言ってそのまま階段を下りて行った。こちらもうつらうつらしていたのでその後の記憶はとぎれとぎれなのだが、次に目を覚ますと娘が下からタオルを持ってきて私の足元にかけようとしている。「お父さん、寒そうだから…。」「やさしいねえ。ありがとう。」しばらくの後、足元で何やら動いているを感じ、目を開けると今度は近くに転がっていた湯たんぽを足の下に運び込んで今まさに私の足を持ち上げてのせようとしているところ。「あったかいよ。」「ありがとう…。」そして「じゃあ下に行くから。静かに寝てね。」と下りて行った。数分後、物音で目を開けると下に降りて行ったはずが、なぜか横のソファーに座っている娘。「一人でいると寂しいと思って。ここで見ててあげるね。」…実はこの時点でかなり気が気でなくなってきている。ちょこちょこやってくるので実際ほとんど寝てられない。このまま優しく寝かしておいてくれる娘とも思えない…。いったいいつまでこんな”緊張状態”が続くのだろうか…。などと考えながらまたうとうとし始めた時、それは始まった。「お父さん、あのかばんに入りたい。」「へ?」「あのかばん…。」指差す先には柱にぶら下げてあるパリで買った旅行カバンがあった。そう、パリのマルシェでモロッコ人から買ったでっかいカバン。買った当初、あまりにでかいので中に入れて振り回してやったのを思い出したらしい。

「えー。もうちょっと寝ないと力が出ないよ。あとちょっと待って。」「いやだー。入りたい―。」「あとでやってあげるから。」「まてないー。じゃあ、おじいちゃんにやってもらう。」「おじいちゃんなんか持ち上げられないよ。」「じゃあ、おばあちゃん。」「もっと無理だよ。」「じゃあ、持ち上げなくていいから。とってよ。」「ちょっと寝たらおろしてあげるよ。」「今がいい。下に持って行ってよ」「もう少し待ってくれよ。」「じゃあ、自分で持っていく。」「あんなでっかいもの危ないって。」「ねえ、持っていきたい―。ねえ、おとうさんー。おきて、おきてってばー。」まあ、4歳児のやさしさの限界ってこんなもんか。

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