今も相変わらずトカゲランドは20匹を超える住人達でにぎわっている。四方を高さ20センチほどのアクリル板で囲っただけなのだがトカゲたちがそこから逃げ出すことはできないようだ。相変わらずの盛況ぶりではあるが、経営者である息子の心境には微妙な変化が起こっているようだ。初めのうちはまだまだ珍しかったトカゲ達、しかし近ごろではトカゲランドの外にも、負けないくらい、もう庭中がトカゲたちであふれている。当然トカゲの”希少価値”は下がるわけで、ランドにかける一時の情熱は冷めつつある。しかし最近は彼なりにその”経営方針”を変えることで運営を続けようとしているらしい。今日の方針演説。「これからは子供のトカゲを捕まえて育てることにする。明日大きいやつを逃がすんだ。」立派なやつを捕まえて喜ぶことから成長する過程を楽しむことへと方針をシフトさせつつあるようだ。
もう一つの変化。どうやら学校の子供たちの間でも、欲しがるやつらはいるようで、今度トカゲとアマガエルを交換してくれと言われているとかそんなことを言っている。…物々交換。今やトカゲは彼の財産になりつつある。もしかして彼の眼には”トカゲ”が”おカネ”に見えてるのかな??