実はAliceは先週無事帰国している。彼女の目で見た日本は面白すぎて書くべきことは山のようにあるのだが、このところそれを書くだけの時間の余裕がまるでない。ちょっと無理して手短に書き留めておくことにしようか。日の日曜にはAliceの”ご招待”で、三鷹のジブリ美術館に家族で行った。予約だけは前もってとっておいたのだが、とにかく人の多いこと。美術館自体は非常に隅々までよく神経が行き届いた立派なものだった。必ずしも”広大な”敷地ではないのにもかかわらず、建物の構造や植物の使い方で全体像が把握できないように適度に視界を遮ってみたりしながら広く見せてみたり、巧みに視線を導いたり、よく考えて作られたものだった。しかしあんまりにも人が多いのでじっくり見てる場合じゃないというのも事実。娘は猫バスの部屋で遊びたがるが親は行列に並ぶのはうんざり、逆に制作現場やアニメーションの歴史に触れたコーナーでは親は興味津々でも子供はもう知らない人のお尻ばかり見させられているようで我慢ができない。今度来るときは平日に子供抜きで来ようと、心に誓った。美術館を後に、夕食まではまだ時間があるのでついでにスタジオジブリでも見に行こうかということになった。もちろん中を見るわけではなく散歩がてら外を一回りするだけ。ほんとに何でもない住宅地の一角にスタジオと宮崎氏のアトリエ、たぶんスタッフのための幼稚園、…などが何気なく溶け込んでいる。なのになんでかそこの一角だけがちょっと日常と違った空間になっているのが面白い。日曜のため、スタジオ自体も休みのようで人影はなかったが、宮崎アニメ好きのAliceは興奮気味に写真を撮っていた。もちろんそこへの道の途中でもしっかりご当地マンホールの写真を撮ることは忘れていない。その日はその後、池袋でラーメンを食べて別れた。
そう、うちで約1週間を過ごした後、彼女はカプセルホテルに泊まってみたい。…と都心へと向かった。その後もユースホステルなどを転々としながら東京を楽しんでいた。浅草に行って遠くに「東京スカイツリー」を見、前回雨だった横浜に写真を撮りに行き、六本木では広島で知り合った日本人の友達と会って夜中の3時からのサッカーの試合(ドイツの?)をバーで観戦。ホテルで知り合った人とカラオケに行って歌い、ポケモンセンターではキャラクターもののティッシュやら絆創膏を買い、(いったいそれをいつ使うつもりなんだろう…。)…、とにかくやれることはみんなやってきたといった感じ。
そして帰国前、最後の夜に再び我が家に舞い戻ってきた。しめがうちでいいんだろうか、と思ったが、まあたぶん居心地はよかったのだろう。再び舞い戻ってきた彼女の荷物はさらに膨れ上がっていた。一度お土産だけを航空便で送ったのだが、さらに家族や友達、そして自分自身のお土産…、測ってみたら全部で30キロの重さになっていた。
彼女の買った戦利品の一部を見せてもらうと、友達へのお土産には定番のTシャツみたいなものだったが、それ以外にはいくつかの雑誌、よく見ると、刺青の雑誌やら、ロリータファッションみたいなのばかりのファッション雑誌など、見たこともないようなものがいろいろ…、こんなものがあること自体知らなかった。そう、こちらで彼女が買った服は定番の浴衣に加え、渋谷のロフトで買ったという高校生の学生服。彼女から見ると日本のものは雑貨にしてもファッションにしても「かわいい」んだそうだ。こういう類いはあまりスイスにはないらしい。日本に来てまず感じたのは日本の女の子の着ているものは首が閉まっていてスカートが短いということだったらしい。スイス(ヨーロッパでは大体そうだが)胸がたっぷりあいていて、下の方は丈が長いという。全体的に見て、日本の方が服が上の方に上がっていると言ったらいいのだろうか。なので日本に来て自分が胸のあいた服を着ていると、なんだか恥ずかしいような気になると言っていた。
よくよく考えてみると、これは体型と関係あるんじゃないか…。西洋人と比べ、比較的脚の短い日本人が、少しでも足を長く見せようとした工夫が服全体を上にあげさせたと思うのはちょっと考え過ぎかな???こんなふうにAliceの視点から見ると、芸能界を見ても活躍しているのは中学生やら高校生たちが多い。確かに日本は「大人」や「エレガント」という言葉からイメージされるものよりは、「かわいい」ことが珍重される国なのかもしれない。
Alice日本での最後の夕食の場は近所のお好み焼屋となった。「日本の食べ物のベスト3は?」に対する答えは1、お好み焼。2、うどん。3、焼き鳥だった。
家に帰った後最後にやったこと、うちの父との碁の対局。日本の漫画で碁を知り、4年前からやっているのだという。お土産の本の中には碁の本も含まれていた。
初段の父は石4つのハンデをあげて、それでも結局勝ったが、「結構やるよ。」との感想。息子との対局では逆にAliceが石4つのハンデをあげて楽々勝利していた。
2か月間、伝統的な部分から若者文化まで、そこらの日本人より数倍たっぷり日本を体験して帰ったスイス人。彼女は数年後、日本語留学に来るつもりでいるらしい。またどんな知らない日本の面白さを教えてもらえるのだろう…。
p.s….そう、彼女がたまたま長野を訪れていた時、”釣竿でつられた”映像がyoutubeに出ている。http://www.youtube.com/watch?v=Ujo2Xpe7ar0&list=FLsFEmblWdY47pA_-vy1F7wQ&index=1&feature=plpp_video
…ホントいろんなことをやってきたんだな。