「DOMANI明日展」はサブタイルに「文化庁芸術家在外研修の成果」あるとおり、文化庁の在外研修で各国に行ってきた研修員の選抜展のようなもの。研修員には音楽や舞台、美術などのジャンルがあるがこれはそのうち美術系のメンバーによる展覧会。メンバーを見ると、12人のうち去年帰ってきた2011年度派遣の作家は3人、派遣年度もバラバラだ。その辺の選考基準についてはよくわからないが、とにかく国立新美術館の広い会場でほぼ個展形式での展覧会を企画してくれるのだからこれは非常にありがたい話というほかない。
最初にその話が来たのは今年の6月頃、初めに話を聞いた時にはありがたいながらも、実は戸惑いを覚えた。広さ約16m×8mの会場。在外研修の成果の発表ということから言えば、帰国後の新作を出さなければいけないだろうと思うと、年間6枚程度の制作量から言って自分ではとても埋められるスペースではない。断ろうかと考えていた。そこで実際文化庁におもむいて最初の話し合いがもたれた際、正直にそのことを話したのだが、作品については、すでにコレクターや美術館に収まっている作品については借り出してくるなど、手続き一切をやってくれるということ、新作ということにこだわるのではなく、小規模な回顧展という形で考え、派遣前と派遣後の自身の作品の変遷を見せる場にしてくれてもいいのではないか。という提案を受け、それならと出品を決めたという経緯があった。そう考えるならばこれは自分にとっても非常にいい機会だ。この際、これまで描いてきた中から古くは20年くらい前の作品を含め、自分自身の転機となったようなその年齢その年齢の中での気になる作品を集めてこれまでの変遷を見てみようという気になった。
中には作品の行方がなかなかつかめそうにない作品もあったが、とりあえず17点をピックアップし、わからないものは画商さんの協力で何とか行方を探し出し、所蔵家の方々の承諾を得ることができた。出品することに決まった作品の中には、かつて安井賞展に出品した作品、倉吉博物館にある前田寛治大賞展の受賞作、それ以外にも風景、静物を含め、自分の中での思い入れの強い作品達をそろえることができたと思う。それらこれまでの作品と、フランス滞在中の模写2点を含めた帰国後の作品がほぼ半々、さて、実際会場でそれらを並べてどのように見えるのか、自分でもちょっと楽しみだ。
興味のある方はぜひご覧ください。
ちなみにこの画像はプレリリース版のもの。
ポスターやはがき、チラシなど、それぞれデザインが違っていて、中には自分の作品が入ってなかったり、小っちゃかったりいろいろなのだが、このプレスリリースではでっかく取り上げられている。ポスターの方だったらもっと目立ってよかったんだけどなあ。貴重なプレスリリース版ということで、載せさせていただきます。