庭の真ん中に掘られた小さな穴。確か1か月ほど前のことだったろうか、5歳の娘が掘ったものだ。「なに穴なんか掘ってんだ?」と聞くと、落とし穴だという。そのまま底の方にちょこっと枯れ葉を入れて完成。いったいこんなわかりやすい穴にだれが落ちるってんだと笑ったものだった。…しかし最近になってこのわかりやすい落とし穴が意外なほどに効き目があることがわかってきた。
春になって草花も芽吹き始め、庭に出る機会が増えてきた。気分よく木々や花たちを眺めているとついつい足もとへの注意が散漫になる。さらに草が増えだすことで、それまで何にもなかったときに比べ、いろんな凸凹が増えたおかげで穴の存在がだんだんわかりづらくなっている。まずは妻が落ちた。しばらくして息子が、そして「ばっかだなあ。」なんて馬鹿にしていた私までも…。最近は遊びに来た近所の子供たちが次々はまっているらしい。落とし穴を作った当人は、もうすっかり落とし穴のことなんか忘れているらしく、別に「うれしい!」でも「しめた!」でもないみたいだ。こうなると一体この落とし穴の存在意義ってなんなんだ!と言いたくなる今日この頃、そんなこととは全く関係なく、今日も庭の草花たちはすくすくと育っております。