下地作り・・・カルチャーセンターにて

 前にもブログに書いたことがあるが、自由が丘のカルチャーセンター「東急セミナーBE」でデッサンクラスを2つ持っている。月4回の木曜夜クラスと月2回の金曜午前クラス。先日「板に描く」という課題のための下地作りを行った。これは私がたまに描くミクストメデイア作品とほぼ近い技法。古典絵画の技法と言うよりは私自身のオリジナルなやり方なのだが、定期的に教室でやっている。「額縁に入れて家に飾れる自分自身の作品を作ろう!」というのが目標と言うこともあってか毎回なかなかの名作が生まれるカリキュラムとなっている。この春にやった作品をご覧になりたい方はこちらを見ていただくとどんな感じかわかっていただけると思う。

http://www.osamu-obi.com/blog/2016/03/be-1.html

 

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もともと私がこのようなやり方を始めたのは作品として強さのあるデッサンが描けないものか・・・、と思い始めたことがきっかけ。勿論紙にデッサンでも充分強い作品は描けるのだが、何かもう一工夫できるはずだ。板に描くというのはどうだろう・・・。はじめにやったのはアクリルの下地材、ジェッソを塗った板に描くと言うこと。勿論描くことはできた。紙とは違うパネルの強さは出せそうだ。・・・でもなんだかちょっとしっくりこない。描けるのだがスパッと消せない。鉛筆がこびりつく感じ。描き心地もカリカリとした心地よさというよりちょっとめり込む感じというか、なんだかビニールの上に描いてるような感じとでも言えばいいのだろうか。アクリル樹脂の柔軟性が私にはあまり心地よさにつながらなかった。その作品がこの手のデッサン。次に試したのは普段油彩のために使っている水性白亜地の上に描くというもの。簡単に言えばアクリルではなく膠を接着剤に使った下地。今

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度は非常に硬質な下地のため、カリカリと心地よく描くことができるし消しゴムでもよく消える。髪の毛のハイライトを描こうと思ったら針でひっかいただけでシャープなハイライトが描ける、・・・ただ残念なことに中間トーンがコントロールしにくかった。HBの鉛筆で描いても6B位に濃く出てしまう。ごくごくかすかなトーンの移り変わりを出そうと思うと6Hで描いてもまだ濃すぎるくらい。そして定着しにくく、軽くこすっただけでぼやけてしまうし、消しゴムを使うと一気に真っ白になってしまう。あまり硬い鉛筆でこすり込むように描き続けると、次第にその部分だけが磨けてつるつるになってしまうため、今度は滑って鉛筆がのらなくなってしまう・・・。うまくやればかなりいいものができるのだが、描きやすいか、といえば、描きやすくはない。そんな風に苦労しながら描いた作品がこの横顔の人物画。その後もアクリルと膠の中間くらいができないもんか、二つを混ぜたら??なんてこともいろいろやってみたが、やはりぴったりくるものはできなかった。

 「やっぱ紙の描きやすさに勝てるものはないなあ・・・。」「・・・ん?待てよ?じゃあ、パネルに紙を貼り込んじゃったらどうだ?」硬質なパネルの上にごく薄い和紙をごく薄目の膠水で貼り込む。そうすれば紙の描きやすさを持ちながら板地の硬質な描き心地も得られるんじゃないか・・・。」そんな風にして始めたのがこの技法。最近は水彩や色鉛筆、部分的にパステルなども使ったミクストメデイア作品としていくつか発表するようになっている。そんな最近の作品がこれ。

小尾修「彼方へ」27.3x27_R-2.jpg_MG_1001_R.jpg

 自分が実際描くときには油彩用に作り置きしてある白亜地パネルの上に雁皮紙などの和紙を貼り込んで描くのだが、カルチャーでのやり方はその簡易版と言ったところ。パネルの上に直接膠で貼っていく。膠水は水彩絵の具で色付けしておき油彩で言うインプリマトゥーラのように中間調子を作っておく。特に木曜クラスの生徒さんは半年に一度やっているのでこの作業にもかなり慣れている。いちいち教えなくても勝手にやれる人もいる。中にはめんどくさいので「先生やっといてくださいよ。」・・・なんてこと言う人も・・・。

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できあがったパネルはよく乾かし、実際描き始めるのは8月のお盆明けから。それまでにそれぞれ描きたいものをイメージしてくる。教室のモチーフ棚から好きなものを選んで描く人、家からモチーフを持ってくる人、きれいな写真集から動物の写真を見つけてくる人、名画の模写をする人。様々。基本的には鉛筆を使って暗部を描いていき、明部を白コンテや色鉛筆で描き起こしていく。人によってはその後、水彩やらパステルやら各自使いたい画材を持ってきて自由に描いていく。なかなか楽しいですよ。パネルはF4号サイズなので、できあがったら額縁屋で油彩用の額をつけるとかなり見栄えのある作品になるはず。

板地は多少余分に作っているので今からでも受講可能でございます。

なんだかものすごいセールストークになってきた。まるでテレビショッピングみたいだな。

興味のある方はこちらまで。

https://www.tokyu-be.jp/seminar/2016040006LU75001.html

https://www.tokyu-be.jp/seminar/2016040006LU64001.html



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