既に始まっています、毎年恒例のグループ展「第24回 彩樹会」。
今回私はM30号の人物を1点出品しています。
今日(既に昨日?)初日のオープン時間11時ぴったりに電車に乗って作品を搬入。ぎりぎりセーフ!・・・というか展示作業日に間に合わなかった時点で既にアウトというか・・・。会場に入ると既に来ているお客さん。私の他はすっかりきれいに展示されている中、一つだけ空っぽの額縁だけが寂しく展示されている。まるで心眼で見ればそこに作品が見えてくるはず、とでも言わんばかりに。・・・んなわけもなく、持っていった作品を額縁に入れていただき晴れて展示作業が完成となった。いつもながら、ごめんなさい。・・・でもよくよく見てみると、私が最後の一人というわけではなく、本来は展示されているはずの誰かさんの作品が・・・ない!額縁さえ用意されていない!上には上がいるものだ。
今回ここまでぎりぎり遅れてしまったのにはちょっとしたわけが・・・。いつものことだろうという言葉には聞こえないふりをしておくことにする。メディウムの配合をちょっと間違っちゃった・・・。とでも言うのだろうか。欠陥品を作ったという意味ではなく。
私が普段使っている主なメディウムは卵黄に約6倍のサンシックンドリンシードオイルを乳化させたエマルジョンなのだが、これは乾きがかなりはやい。乾きがはやいというのは一見いいことのように思えるかも知れないのだが、実は油絵具の長所はこの乾きの遅さの中にこそあると言って言い。乾くまでの時間を利用して自分の思うがままの微妙なトーンを作ったり2種類以上の絵具を画面上でぼかし込んだりできることができるからだ。あまりにもはやすぎる乾燥は、こうした作業の妨げになる。理想を言えば、描いている1日の間は自由に絵具が動き、翌日には乾いている。と言うことになるが、実際はなかなかそうはいかない。使う色の種類やメディウムの量、季節による気温の違いなどによって乾きの速度は常に変化する。そこで最近はサンシックンドリンシードオイルのように粘りは強いが乾燥はやや遅いスタンドリンシードオイルを同じように卵黄を使って乳化したエマルジョンを別に作り、その日に狙う乾燥速度に合わせて2つメディウムの量の割合を調節しながら混ぜたものを使っている。
で、今回、描き始めにゆっくり2日間くらいかけて暗部の微妙なトーンを追ってみたいとスタンドリンシードだけを使ったエマルジョンでヴァンダイクブラウンを使い粗描きし始めたのだが、そうして描いた陰影部の微妙なトーンの部分が2日どころか一週間経っても充分乾かなくなっていた。少しでもシルバーホワイトが入った明部では2日以内にある程度しっかり乾いたのだが・・・。いっそ全く乾いていないのなら、その部分を拭き取るなり、さもなければ他の色をぼかし込むことで作業は進められるのだが、生乾き状態のままで無理に動かそうとしたり、上に絵の具を重ねようとすると、その部分がマダラにはげてしまい、調子を壊しかねない。・・・なんて事態になりながら、とりあえず進められる部分から優先的に進め、怪しい部分の乾きを待ちながらのどきどきものの綱渡りをしていたというわけ。なんとか最終日にこれならいけると言う程度まで乾きが進み、夜通し描いて無事出品までこぎ着けられたのだが・・・。絵画組成室の先生がこれじゃあいけませんね。
でもあのレオナルド・ダビンチだっていろんな技法的な実験の中で、ダメにした作品が結構あるんだから、この程度の失敗、絵をダメにしたわけでもないし、かわいいもんですね。・・・と、巨匠を引き合いに出して自己正当化、ダメですか?
と言うわけで展覧会。始まっています。銀座にお越しの際には是非ご覧下さい。
詳しくはこちら第24回 彩樹会